数ヶ月かけて、やっと「すり替えられた果実の破片」全エンディングをコンプリートしました。
直樹です。
すり替えられた果実の破片については、過去記事を参照ください。
この作品、全エンディングを見てもなお、多くの謎が残っています。そこで、作中のヒントなどから私なりにこの世界の謎を考察してみました。
この先、かなりのネタバレを含みます。それはもう、がっつりと。なので、まだ未プレイだったりネタバレの嫌な人は見ないことをお勧めします。
あと、かなり私の主観も含んでますのでこの考察が正解である保障はどこにもありません。
さらに言えば、クリア直後の興奮状態で書いてるのでいろいろ文章とかおかしいかもしれません。
そんな前置きをダラダラ書いたところで、気になる考察内容については続きからをどうぞ。
まず始めに。
考察へと行く前に主要な登場人物たちの主観をまとめてみた。
登場人物たちについての主観
まず主人公の岸 未明。
かわいい。特殊な生い立ちのせいでかなり重い人生を歩んでるのが痛ましくてならない。彼女が過去を夢に見るシーンはだいたい泣いてた。ちょっと思考がずれてる。重要な場面で「今そこどうでもいいからっ!!」とツッコんだこと数回。たぶん天然。実は巨乳らしい。幼女未明と分かれたことで子供っぽさを失ったのではと智基が推測してたが、多分ほかにも失ってるせいでちょっと残念な美人になってる気がする。
佐上 智基。
一見クール。でも実は冷めてるのではなく、過去のトラウマが原因で人と深く関われないだけの奴。本気で好きになった相手のためなら、正気度0にだってなる。智基と未明ちゃんのやり取りはなんだかとても微笑ましい。プレイ中に何度「お前らもう付き合っちゃえよ」と思ったことか。
たまに男気溢れる行動力も見せる。ナイスガイ。
枇杷島ミチル。通称ミッチー。怪談ライターやってるらしい。ナコタス出版の柏木さんとウマが合いそう。一見するとお調子者っぽいが、実はすっごくいい人。未明ちゃんたちを本気で心配して、彼女達の環境をなんとかできないかと奔走してくれたりする。ミチルが最後に脱出した後のエンド「人間めいた平穏」は最初に辿り着いたエンドってこともあり、すごく印象に残っている。
海堂 一基。
智基の叔父さん。なのだが、失踪当時の姿のままなのでお兄さんみたいに見える。と言うか、年齢的にも兄でいける。ループの原因を作ってる人らしい。かなりのイケメン。一基への印象はどうにも薄い。彼は春海先輩絡みのイベントで深く関わりがあるんだが、どうしても春海先輩に意識がいってしまうからだと思う。
高崎 春海。
百年に一度の天使過ぎる怪異。ちょっと年寄りくさいのは祖父母に育てられた影響だろう。よく散歩してるか、ふにゃっとしてる。かわいい。運動神経は良くない方で、走るのが苦手。のんびり屋さんなのだろう、かわいすぎる。ちょっと押しに弱いとこがある。そのせいでミチルに何度か拉致されていた。天使である。でも、ここぞという場面でビシッと決めてくれる人。彼女の名言「大人になったら迎えに来るわ」「大人になっても忘れてなければ、あなたを見つけるわ」などは直樹の心に深く刻まれている。彼女こそ真のヒロインだと思っている。
ここから考察である。
そもそも海の町とはなんだったのか。
作中の描写などから、あの世界は三日月によって作られたことはわかっている。これまでの歴代「未明」たちも、死んだ後はあの海の町に辿り着いたんだろうか?
あの町は恐らく、五歳までの未明の記憶を元に形成されてるはずだ。どこか見覚えがある景色、ミチルも四ツ井町と似てるが景色が少し違うと言っていた。過去の四ツ井町がベースと考えれば説明がつく。当時の未明がどれだけ自由に動き回ることができたのか不明だが、町の境界は未明の行動範囲内で収まっているのではなかろうか。
三日月いわく、ここは未明と自分のための地であるらしい。二人だけの世界。というより、未明を悲しみ溢れる外界から隔離させるための場所とも思える。
では、未明以外の人間が迷い込んだ理由はなんだろう? 推測の材料はいくつかある。
まず、未明と繋がりのある者。三日月は未明と親しい智基のことを把握していた。また春海先輩によると、幼い未明と関わると匂いがつくから接触するなと言われていたらしい。幼女の匂いがつくとか最高じゃないか。三日月はもしかしてロリコンなのだろうか。おまわりさん、あの神様です。
智基はこの条件を満たしている。春海先輩も満たしていると言えるだろう。だが、春海先輩は未明たちよりずっと前に海の町へ迷い込んでいる。ミチルや一基は未明と接触してないはずだ。智基と未明がほぼ同時に迷い込んだのはこの条件だったとして、他の人物たちの条件に合わない。
次の条件は石碑だ。春海先輩と一基は石碑に関わりがある。春海先輩は石碑の傍に生えていた果物を食べてしまったらしい。禁忌の実を莉子と二人で口にしたという。一基は心の傷となった場面が、あの石碑のすぐ傍だった。
ミチルも石碑についていろいろ調べていた。石碑に深く関わると、未明の匂いと同じ条件を満たすのではないだろうか。
また、三日月は未明の友達も連れてくると言っていた。友達、つまり未明と同じような者たち。未明のような傷のある者たち。それらの条件を満たした時、三日月から呼ばれるんだと思う。
町を出る条件はなにか。思い返せば、登場人物たちは皆、町を出ることに消極的だった。彼らはそれぞれ、なにかから逃げようとしていた。心の傷が外界を苦痛に感じていた。その気持ちが町に縛り付ける、と言うより留まらせることに繋がっている気がしてならない。
唯一の例外はミチルだ。彼は最初、怪奇ライターとしていろいろ探索していたが、調査を進めるうちに長居は危険だと考え始めた。ミチルを脱出させやすいのは、彼だけが早期に町からの脱出を願ったからではないのか。
町へ呼ぶのは三日月だが、実際には幼女未明の意志も大きく影響してるはずだ。彼女は友達を求めていた。話し相手を欲していた。だが、誰にも自分を認識してもらえない。同じような心の傷を持ちながら、彼女を理解してくれる人間は誰もいない。そう、未明以外は。
最大の謎は町のループである。これは一基が関わっているらしい。彼自身がそう仕向けたのではないだろうが、彼の心が未明の力と共鳴でもしたのであのような現象を引き起こしたと考えられる。つまり、ループは一基が望んでいることなのだ。
なぜ彼は繰り返しを望むのか? 一基はずっと、春海先輩の死を目撃したあの日をやり直したいと願っていた。やり直したい、あの日に戻りたい。登場人物の中では、一基がもっとも長く海の町に留まっていたはずだ。二番目が春海先輩だろう。春海先輩は、町がループすると知っていたが、それは一基がループさせていることにまでは気づいてなかった。あのふにゃりとした先輩は、そういうものかと深く考えず受け入れてたに違いない。天使である。
一基が脱出するとループも止まる。このことからも一基がループの原因で間違いないのだが、問題はなぜ彼の深層心理が町に影響を及ぼしたのかである。イケメンだったから幼女未明ちゃんのお気に入りだったのかもしれない。
ループ時に流れる楽曲、カナリアの歌詞でも一基の葛藤が見て取れる。彼は一番の歌詞でループを望み、二番で永遠を断ち切りたい、悪夢(ゆめ)を終わらせたいと願っている。一基は海の町を夢だと捉えていたので、最初はここに留まればあの日の悪夢から開放されると考えていたが、やがて強い意志をもって悪夢を終わらせる決意を歌詞にしている。強い意志→脱出の条件だ。だから彼が脱出した後はループも止まったのだろう。
他にも謎はいくつかある。例えば、ミチルが出会った謎の青年。あれも神と呼ばれる人外のなにかだろうが、その正体は不明のままだ。彼については同サークルの作品「辿り歌」である程度わかると思う。なので、ここでは考察を控えることにする。
高崎家の生き返りや、莉子が異常なほど春海先輩に執着したのはなぜだろう。莉子はヤンデレだったのか? 歪になってしまった彼女達の絆がなんなのか、これはどうしてもわからなかった。と言うか、考察のために春海先輩のシーンを繰り返す度に先輩かわいい(*´Д`)ハァハァしてしまうので考えがまとまらないのだ。
タイトルにもある果実、未明の実と作中で言われたものがなんなのかもわからなかった。私は苺だと睨んでいるのだが、確証は得られていない。
これだけ考察しても、まだ多くの謎が残っている。だが、その全てを白日の下に晒すのは躊躇われる。全てを知ってしまったら、きっと引き返せなくなるだろうから。
久しぶりにここまで本気で考察した。改めて「すり替えられた果実の破片」は素晴らしい作品だったと言いたい。そして、このような作品を遊ぶ機会を与えてくれた制作者様に深く感謝する。
2014年11月04日
すり替えられた果実の破片を考察してみた
posted by 直樹 at 06:01| Comment(0)
| 同人ゲーム
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